食後のデザート
※現パロ
にぎやかな深夜の居酒屋、カウンターの隅で天板に肘をつき、ぼうっとする頭を支えながら、お行儀わるく公魚の天ぷらをつまみ、大吟醸を呷る炭治郎くんは、いま、とっても機嫌がいいみたいだ。こういうときはたいてい開放的な気分になっているから、いつもなら恥ずかしくて訊けないようなことを、思いきって訊いてみる。
「炭治郎くんは、わたしのどんなところが好き?」
「ぜんぶだよ」
「ぜんぶ?」
「うん。俺は
のぜんぶが大好きだ」
「ふふ、うれしい」
彼らしい素直な返答に照れ笑いしながら、ロックグラスを傾け氷を回していると、「そう言う
は、俺のどこが好きなんだ」と訊かれて、わたしは、彼のとろんと垂れた目、仄かに赤く染まった目じりをじいっと見つめ、いたずらな笑顔をしてみせる。
「からだの相性がぴったりなところ」
予想もしていなかった答えにまあるく目を見開いた炭治郎くんは、ごくりと生唾でも飲み込むように、グラスの日本酒に口を付け、おおきく喉を鳴らして飲み干したあと、目蓋を三日月みたいに細くして、不敵な笑みを浮かべて言った。
「それじゃあ、今日はいつも以上に、たくさん愛してあげないとなあ」
2019.12.152020.06.09: 加筆・修正