仮想3P
※タイトルの通り、お馬鹿な話です。
※性描写を多分に含みます。ご注意ください。








 戦闘狂のわたしたちは、戦闘時においてのみ卓越した能力を発揮するので、普段はけっこう、だらしのない生活をしている。今日は日曜日、偶然にも非番が重なって、慶くんの部屋でのんびりと過ごしています。学校もお休みだから、お昼頃まで寝て過ごし、起き抜けに一度目のセックスをして、今はまた、ベッドのなかでふたり、のんびりしているところ。


、3Pしたことある?」


 慶くんは、よくこんなふうに突拍子もないことを訊ねてきます。はじめの頃は驚いたけれど、これももう慣れたこと。すごく真剣な表情のとき、たいてい何も考えていないっていうことも、付き合いだしてから分かった。


「あるけど」
「え、あんの?」
「うん」
「いつ」
「慶くんと付き合う前」
「ちょっと待て、それは男が2? 女が2?」
「え、男2のほう」
「まじでか」
「引いた?」
「いや全然。もっと教えて」
「えー…」
「いいじゃん、昔の話だろ」

 発する言葉の響きがすこしずつ生き生きとしてきて、慶くんが身を乗り出してきく。


「その男って誰と誰」
「当時の彼氏と、その後輩、だったと思う」
「どんなふうにやんの」
「わたしがしたのは、3Pって言っても、彼氏とやってるところを見ててもらって、もうひとりの子は自分で扱くだけだよ」
「うわ、やばいなそれ」

 慶くんは、興奮してきた、と言って、わたしの体にべたべたなキスをした。わたしも昔の彼氏の顔を慶くんに置き換えて、当時の記憶を辿りながら、肩口や胸元に、舌を合わせた。彼の手が、わたしのやわらかく肉づいた部分を、くすぐるように撫でてゆく。

「あっ」
も興奮してきた?」
「うん…」


 一度目はねっとりと甘く、時間をかけて丁寧に行なったので、二度目はすっかり体に馴染んでいて手際よく、すんなりと行なうことができた。慶くんはわたしの膝の裏をぐっと持ち上げて開き、そのあいだに腰を沈めて、いとも簡単に侵入してくる。嬌声を上げるわたしをよそに、彼はよっぽど興味が湧いたのか、さっきまでと変わらない調子で話をつづける。


「なあ、今度俺らも3Pしようぜ」
「あっ、いやっ」
「さっきの後輩みたいな、誰か適当なやつ見つけてさ、俺らがしてるとこ見ててもらおう」
「もし、その子が、わたしに、入れたいって、言ったら、慶くんっ、は、どうするの」
「入れるのは、絶対ダメだ」
「あっ、あ」
に入れてもいいのは俺だけだろ、フツーに考えて」
「ん、うんっ」


 じゃあ、もしその子が、口でいいから入れさせてほしいって言ったら、どうするの。

 大きく揺さぶられて、ずんずん奥を攻め立てられて、気持ちよくて、たったひとこと話すのにも随分と時間がかかってしまう。慶くんは眉根を寄せて苦しげな顔をしてはいるけれど、声はとっても楽しそう。

「口だったら、ちょっと考えちゃうな」
「えっ、あっ」
「だって、そんときの、想像したら、めっちゃ興奮する」
「あっ」


 何度も肌がぶつかって、何度も粘膜が擦れて、いよいよわたしはまともに考えることもできずに、言葉にならないまま小さく叫ぶように声を上げて、慶くんの腕に縋りつく。全身が強張って、びりびりと電流が走るような、筋肉が収縮していく感じがする。
 オーガズムが近づいているのだ。


「感じてるとこ見られて興奮して、こっちは俺に入れられて、口では違うやつのくわえて、すげー淫乱で、可愛い」
「あっ、ああっ」


 それから少しして、慶くんもわたしも絶頂を迎えた。お互いの性器をティッシュで拭い、ぐったりと力尽き、染みのついたシーツの上へ勢いよく倒れこむ。汗ばむ体をくっつけ合って、たぶん今後、3Pなんて二度としないし、したくないけど、今したセックスがあんまり心地よかったので、妄想するくらいならいいかもしれない、なんて思う。となりで眠そうに目蓋を擦る慶くんは、どれだけ疲れていても腕枕をしてくれる、優しくて、ちょっとだらしのない、戦闘狂の男の子。わたしは彼に向かって「ふたりでするのがいちばん好き」と伝え、ふれるだけのキスをした。明日はふたりとも、朝から防衛任務です。







2019.07.03